グッチの靴底修理方法についてお伝えします。今回の記事は上質な靴を大切に長く履きたい方に向けてまとめました。
グッチの靴コレクションで定番中の定番といえば、ホースビットローファーではないでしょうか。
ホースビットローファーを最初に生み出したのが、グッチ。
これまでどちらかといえば、ありきたりなデザインだったローファーに、馬具のくつわをモチーフにした金具をあしらう事で、艶っぽいデザインのローファーをこの世に生み出しました。
トラッドなイメージが強かったローファーを、イタリアンファッションでよく見かけるような、着崩したスタイルにも合わせる事が出来るローファーにしたのは、ローファーの再発明と言ってもよいと思います。
革底の靴にラバーシートを貼るべき3つの理由
ハイブランド靴の定番品は靴底が革底(レザーソール)で作られている事が多く、グッチのホースビットローファーもクラシックな革底仕上げです。
革底のメリットは、なんといっても履けば履くほどユーザーの足に馴染んでくる事。歩く時の革底の返り具合はそれはもう気持ちの良いものです。
靴を育てる等と言われる事もありますが、まさしくその言葉の通りで、履き続けた革底の靴は、新品の時より価値のある相棒に育ちます。
そこではこれから革底の靴に秘められた可能性を最大限生かす方法をご紹介します。
理由その一、革底は雨が苦手なのでラバーシートで保護してあげよう
革底特有のしなやかさは、ラバー底では絶対に味わえない特徴です。
しなやかであるが故、耐久性はラバー底の靴底と比較すると劣るのが残念なところ。
特にいきなりの雨の中を、やむを得ず履かなければいけない時などは、雨水を吸った革底の耐久性は、晴天時の半分程まで落ちてしまいます。
これは、革は水分を吸収すると柔らかくなる特徴がある為で、柔らかくなった革底は地面との摩擦で削れやすくなります。
特に水分を吸収した革底の靴で、アスファルトの路面を歩くのは、まるでヤスリの上を歩くのと一緒と言われるほど靴底にかなり大きなダメージを与えます。
美しいデザインのグッチを、そんな事で痛める訳にはいきません。
そこで修理のプロとしておすすめするのが、革底に薄いラバーシートを前側半分だけ貼る修理。
薄いラバーシートを貼るだけなので、デザインを崩す事なく修理する事が出来ます。
2~3mmの薄いラバーシートですが、その耐久性は抜群で靴底をすり減りから保護します。
雨の日が多い日本では是非取り入れて頂きたい靴底の修理メニューになります。
革底の靴にラバーのシートを履く前に貼るべきなのか?という質問をお客様よりよく頂くのですが、答えとしては是非貼って頂きたいですね。
日本は雨の日が多く、どうしても突然の雨で濡れた路面を歩かなくてはいけない時があります。そうすると靴底のラインが波打つように崩れ、それがアッパー(甲革)にも影響を及ぼし靴の型崩れの原因になってしまうからです。
理由その2、アッパーと靴底を縫い合わせている糸が切れないように保護する為
ハイブランドの靴はアッパーと靴底を接着で付けているだけではなく、松ヤニを染みこませた丈夫な糸で縫われています。
グッチの靴底はヒドゥンチャネルと呼ばれる靴底を縫った糸が表面に露出しない製法で作られており、縫われた糸が地面と接触して切れてしまわないような作りになっております。
ですが、やはり履いている内に糸を保護していた革がめくれてくる事があります。
そうすると靴底を縫い付けていた糸が表面に露出して、切れてしまう事につながります。
切れてしまった縫い糸を縫い直す事も出来るのですが、修理日数がかかりますし、費用もかさんでしまいます。
しかし、靴底に薄いラバーのシートを貼る事で、靴底を縫っている糸を保護する事も出来ますので、結果として靴底が長持ちします。
理由その3、滑りやすい革底を滑りにくくする効果があります
革底を履いた事がある方は皆様経験するであろう靴底の滑りやすさ。
特に新品に近い履き始めの時は特に滑りやすく、転びそうになる事もあります。
高い靴だったのに、なんて履きにくいのだ!と気分が下がりそうになるのですが、ちょっとした工夫で滑りにくくする方法があります。
それは薄いラバーシートを靴底に貼る事。
革よりもグリップ力の高いラバーのシートを靴底に貼る事で、格段に滑りにくくなり、革底の靴が初めての方も安心してお履き頂けるようになります。
それでは実際靴底がラバーシートでどのように仕上がるのか見ていきましょう。
グッチ靴底修理前
靴底を縫っている糸を地面と擦れないように保護していた革が擦り減ってきた状態です。
ヒドゥンチャネルと呼ばれる、靴底を縫ってある糸が表面に露出しないように覆っていた革の一部がすり減っています。(赤丸で囲んである部分です)
革が擦り減っただけで、縫い糸にはダメージはありません。
但し、このままの状態で履き続けますと靴底を縫っている糸が擦り切れてアッパー(甲革)と靴底が剥がれてくる原因になります。
そこで縫い糸を保護する為に、靴底に薄いラバーシートを貼ってメンテナンスしていきます。
縫い糸が切れたりしている場合でも、縫い直して修理する事は可能ですが、できれば縫い直しをしなくても良い状態で、靴底をラバーシートで補強するのが理想です。
グッチ靴底修理後
ラバーシートはビブラムの横ラインシートを選択。横ラインソールは革底のメリットである反りの良さをそのままに修理する事が出来ます。
靴底の縫い糸の保護もバッチリです。
地面と触れる部分がラバーになる事で、濡れた路面を歩く時も革に水分が染みこんでくる事なく履けるようになりますよ。しかし、雨の日はフルラバーの別の靴を履くようにして下さいね。
ラバーシートは接着で貼り付けてありますので、擦り減って薄くなってきた場合は、剥がして手軽に貼り替える事が出来ます。
靴底を定期的にメンテナンスする事で足裏が疲れずに本当に履きやすくなりますよ。
グッチ靴底修理の時間と料金
修理時間 1時間から
修理料金 ¥3300(税込)から
※修理時間は店頭の混雑状況により変わります。
※修理料金は使用する材料、靴の状態により変わります。
当ブログ掲載の修理はウィンリペア全店で承っておりますので、お近くの店舗までお気軽にお問い合わせ下さいませ。
グッチ靴底修理まとめ
グッチなどのハイブランドの靴は品質、デザイン共に素晴らしい靴です。
特にグッチクラスのハイブランドになると、アッパーの質が別格です。これは一度でもグッチの靴を履いたことがある方は、皆様納得する事だと思います。
適切なメンテナンスがなされる事で何年も履き続ける事が出来ます。
定期的に靴磨きが必要な事は一般に周知されているのですが、靴底の適切なメンテナンス方法はまだ知られていないようです。
歩く事で靴底は徐々に消耗してくる部分ですので、靴底のメンテナンスは本来であれば靴磨きと同じくらい重要なのです。
靴底のメンテナンスは、靴修理店に持ち込まなければいけない手間があるのですが、一度メンテナンスしておけば靴に余計な負担をかける事なく快適な状態で履き続けて頂く事が出来ますよ。
かかと修理、靴底修理、中敷交換など様々な修理をお取り扱いしております。